共有XLINEFacebookThreads

血族と姻族・直系と傍系・尊属と卑属の違い

公開:2026-10-16 更新:2026-10-28

血族と姻族

結論:親族は3つの物差しで分けられる

親族の分け方には、3つの物差しがあります。1つ目は「つながり方」で、血縁でつながる「血族」と、結婚でつながる「姻族」。2つ目は「並び方」で、自分とまっすぐ上下につながる「直系」と、共通の先祖から枝分かれした「傍系」。3つ目は「世代」で、自分より前の世代の「尊属」と、後の世代の「卑属」です。この3つを組み合わせると、どんな親戚もだいたい説明できます。

物差し分け方意味
つながり方血族/姻族血縁でつながるか、結婚でつながるか
並び方直系/傍系自分と一直線か、枝分かれか
世代尊属/卑属(同世代はどちらでもない)自分より前の世代か、後の世代か

血族と姻族:血縁か、結婚か

血族(けつぞく)は、血のつながりのある人たちです。生物学的な血縁のある「自然血族」と、養子縁組で法律が血縁と同じに扱う「法定血族」があります。父母・子・兄弟姉妹・祖父母・おじ・おば・いとこは自然血族、養子と養親は法定血族です。

姻族(いんぞく)は、結婚によってつながる人たちで、配偶者の血族と、自分の血族の配偶者を指します。夫から見た妻の父母や兄弟姉妹、きょうだいの配偶者などが姻族です。Wikipedia の「親族」の項目では、姻族は婚姻によって生じ、離婚で消滅すると説明されています。民法728条にも、姻族関係は離婚によって終了すると書かれています。

配偶者本人は、血族でも姻族でもなく、別枠の「配偶者」です。民法725条は、親族を「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」と3つに分けて挙げています。親等の数え方は、血族は自分からの世代数、姻族は配偶者から見た血族としての親等になります。

あなたから見てつながり方
父・母・祖父母・兄弟姉妹血族(自然血族)
おじ・おば(父母のきょうだい)血族(自然血族)
おじ・おばの配偶者姻族
養子・養親血族(法定血族)
配偶者の父母・兄弟姉妹姻族
継父・継母姻族
配偶者どちらでもない(配偶者)

直系と傍系:一本の線か、枝分かれか

直系は、自分から先祖へ、または子孫へと、縦に一直線でつながる関係です。父母、祖父母、曾祖父母、子、孫、曾孫などです。傍系は、共通の先祖から枝分かれしてつながる関係です。兄弟姉妹、おじ・おば、甥・姪、いとこなどです。

Wikipedia の解説では、直系と傍系は生物学的な血統上の相対的な関係であり、「本家・分家」の意味で使うのは誤りだと注意されています。つまり、自分の親が本家筋だから「直系」と言う、という使い方は、法律上の用語とは別のものです。

分類身近な例親等の数え方
直系父母・祖父母・子・孫世代数をそのまま数える
傍系兄弟姉妹・おじ・おば・甥・姪・いとこ共通の先祖まで上った数と、下った数を足す

尊属と卑属:前の世代か、後の世代か

尊属(そんぞく)は、自分より前の世代にあたる親族で、父母、祖父母、おじ・おばなどです。卑属(ひぞく)は、自分より後の世代にあたる親族で、子、孫、甥・姪などです。「卑」の字は漢字の意味から身分が低いという印象を与えますが、世代を示す法律用語で、人の価値を表すものではありません。

大切なのは、年齢ではなく世代で決まるという点です。あなたの母の弟が、あなたより年下であっても、母と同じ世代なので「尊属」です。逆に、あなたの甥があなたより年上でも、甥は「卑属」です。兄弟姉妹やいとこなど、自分と同じ世代の人は、尊属でも卑属でもありません。

また、Wikipedia の解説によれば、姻族にはこの尊属・卑属の区別がないとされ、現在では法律上の効果はほとんどありません。ただ、資料によっては、配偶者を基準にあてはめて「配偶者の父の弟は傍系尊属」のように説明する場合もあります。日常の理解としては、血族の区分と考えておけば十分です。

早見表:身近な親族はどこに入る?

あなたから見て血族/姻族直系/傍系尊属/卑属親等
父・母血族直系尊属1親等
祖父・祖母血族直系尊属2親等
子血族直系卑属1親等
孫血族直系卑属2親等
兄弟姉妹血族傍系同世代2親等
おじ・おば血族傍系尊属3親等
甥・姪血族傍系卑属3親等
いとこ血族傍系同世代4親等
大おじ・大おば血族傍系尊属4親等
姪孫血族傍系卑属4親等
はとこ血族傍系同世代6親等
義父・義母姻族(区分は使わない)—1親等
義兄・義姉など姻族(区分は使わない)—2親等

この表の中で、同じ3親等でも、おじ・おばは「傍系尊属」、甥・姪は「傍系卑属」と、世代が逆の関係になっているのが分かります。親等だけでなく、世代の向きも、親族の近さを考えるうえで大切です。

例題で確かめる

  • 母の姉:血族・傍系・尊属・3親等(伯母)。
  • 姉の子:血族・傍系・卑属・3親等(甥・姪)。
  • 祖母の母:血族・直系・尊属・3親等(曾祖母)。
  • 妻の父:姻族・1親等(義父)。
  • いとこの子:血族・傍系・卑属・5親等(従甥・従姪)。
  • 自分の孫の配偶者:姻族・2親等(孫嫁・孫婿)。

考える順番は、まず「血縁か結婚か」を決め、次に「一直線か枝分かれか」、最後に「自分より前か後か」を見ます。迷う場合は、あなたの親や子との関係を基準にたどってみてください。

自然血族と法定血族:養子の場合

血族のなかの「法定血族」は、少しわかりにくい概念です。養子縁組をすると、養子と養親は、実の親子と同じ関係になります。そのため、養親は養子にとって1親等の直系尊属、養子は養親にとって1親等の直系卑属です。養親の両親(養子から見て祖父母)も、養子にとっては血族として扱われます。

ところが、Wikipedia の解説にあるように、養子の実の血族と養親の血族との間には、血族関係は生じません。養子から見て、養親の兄弟は「おじ・おば」になりますが、養子の実の兄弟は養親の血族ではない、という一方通行の形になります。普通養子では、実の親との関係も残ります。特別養子では、実の親との関係が終了します。縁組の種類によって結論が変わるため、個別のことは専門家に相談してください。

家系図に色分けして当てはめてみる

分類を頭で覚えるより、家系図に書き込むほうが速く身につきます。自分を真ん中に書き、親や子など縦の線でつながる人を赤、兄弟姉妹やおじなど横に枝分かれする人を青、結婚でつながる人を緑で囲む、といった色分けです。赤が直系、青が傍系、緑が姻族と考えれば、見渡すだけで関係が整理できます。

さらに、自分より上の段にいる人に「尊」、下の段にいる人に「卑」、同じ段の人に印を付けなければ、尊属・卑属の区別も完成します。家系図は、親戚の関係を一度整理する、よい機会になります。親戚づきあいや行事の準備にも役立つため、一度試してみてください。

この分類が使われる場面

日常の暮らしで、血族・直系・尊属といった言葉を使うことは少ないでしょう。ただ、法律や公的な書類では、この分け方が登場します。たとえば、民法734条は、直系血族または三親等内の傍系血族の間では婚姻をすることができないと定めています。ここでは「直系」「傍系」「血族」の3つの言葉が、そのまま使われています。

個別のケースで、誰がどの分類に入るかは、養子縁組や再婚など、家庭の事情で変わります。相続、扶養、戸籍の手続きなど、法律が関わる具体的な判断は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に相談してください。

よくある取り違え

  • 血族と親族を同じ意味と思う:親族は、血族のほかに配偶者、姻族も含む広い言葉です。
  • 直系を「長男の家」の意味で使う:法律上の直系は、縦に一直線の関係のことです。
  • 尊属を年上の人のことだと思う:世代で決まります。年下のおじ・おばも尊属です。
  • 配偶者を姻族に入れる:配偶者は、姻族とは別枠の親族です。
  • 養子と養親の関係を姻族とする:養親子は法定血族です。

よくある質問

Q. 血族と姻族の違いは何ですか。
血族は血縁でつながる人(養子縁組による法定血族を含む)、姻族は結婚によってつながる人です。姻族関係は離婚で終了します。
Q. 直系と傍系の違いは何ですか。
直系は自分とまっすぐ上下につながる親族(親・祖父母・子・孫)、傍系は共通の先祖から枝分かれした親族(兄弟姉妹・おじ・いとこなど)です。
Q. 尊属と卑属の違いは何ですか。
尊属は自分より前の世代の親族(父母・祖父母・おじ・おば)、卑属は後の世代の親族(子・孫・甥・姪)です。年齢ではなく世代で決まります。
Q. 兄弟姉妹は尊属ですか卑属ですか。
どちらでもありません。同じ世代の親族は尊属にも卑属にも入りません。兄弟姉妹やいとこは同世代です。
Q. 配偶者は血族ですか姻族ですか。
どちらでもありません。民法725条でも、血族・姻族とは別に「配偶者」として親族に含めています。

相続・扶養・戸籍など個別の手続きや判断は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談ください。

関連する呼び方

出典・参考

ほかのコラム

▲上へ